『第3回女性美術祭 FANTASTIC ASIA―隠された境界、新たな関係―』 省谷美術館 2005.06.16-07.03.

展覧会ボードが飾られた省谷美術館。

雙龍グループ創業者・金成坤の号を冠した省谷美術館は、慶煕宮の裏手の住宅街に位置する私立美術館である。
旅行者だと少し行きづらい場所にあるかもしれないが、韓国作家の展覧会をはじめ、国際展も数多く開催・併催しており、サイズ感も大きすぎずゆっくり観て回れる美術館だ。
今回は、『第3回女性美術祭 FANTASTIC ASIA』とパク・ヨンスク写真展『狂女プロジェクト』が共催されている。

『第3回女性美術祭 FANTASTIC ASIA』は、社団法人女性文化芸術企画が1999年(テーマ:シンデレラになれなかった女たちの行進〔팥쥐들의 행진〕)、2002年(テーマ:東アジアの女性と歴史)と開催してきた女性をテーマとし、国際的に女性作家の作品を紹介する展覧会である。
今回はアジア地域で初めて開催された第9回女性学大会に合わせて開催したもので、キュレーターをつとめたオ・ヘジュは、「アジア女性のセクシャリティ」をテーマに設定。
韓国、中国、日本、インドネシア、台湾、シンガポール、タイのアジア7カ国から選ばれた19人の女性作家たち(韓国からはキム・ファヨン、ソン・サンヒ、チャン・ジア*、チョン・ウニョン、チョ・ジウン、クイーン・コング(ホン・スジョンの別名プロジェクト)、テイの7人が、また日本からはブブ・ド・ラ・マドレーヌ、やなぎみわ、草間彌生、鈴木涼子、嶋田美子)が出展している。

009000000120050531R02470109_0
チャン・ジア『princess said』 シングルチャンネルビデオ

このセクシュアリティとは、キュレーター曰く「女性が感じる性にかかわるすべてのこと、女性の感受性と経験を意味する」とのことである。
東アジアの女性は、欧米のアジアに向けられた目線と、男性から女性に向けられた目線という2つの圧力に、現実の彼女たちがもつ感覚や感情は抑圧され、歪められ、語られることをはばかられてきた。
こうした悲哀と、女性のリアリティについて、作品を通して見直すことが意図されている。

本展において東アジアの女性のリアリティを語れ、表現できるのが女性アーティストしかいないという状態が寂しい限りだが、その趣旨に賛同した作家らが集まっている。

なお、女性器を割とダイレクトに表現した作品もあり、観る人によっては衝撃的かもしれない。
日本に比べ、韓国やアジアのフェミニズム思想の表現は直接的で、即物的なことも多いため、婉曲表現を好む者にはちょっとしたカルチャーショックを受けることとなる。

ソン・サンヒの作品、『東豆川』など
手術を受けた経験を写真作品に込めたクイーン・コング『キングコング狂女伝』

併催されているパク・ヨンスクの『狂女プロジェクト』も、フェミニズムの色が濃い展覧会だ。
フェミニズムの作家と言われるパク・ヨンスクであるが、本シリーズでは、何かを恐れて身をすくめ、何かに囚われたように一点を見つめて蕭然と森の中に立っていたり、台所で魚をメッタ斬りにしている、狂気の真っ只中にいる女性たちが写されている。
また、化粧をする老婆の連続写真、色気をたっぷり盛り込んだ化粧した中年女性たちの大判写真も並ぶ。
家父長的社会構造や他者の考える女性像に閉じ込められた女性たちのゆがんでいく姿を捉え、みる者にちょっとした恐怖の傷を残す、そんな作品群を見ることができる。

パク・ヨンスク『狂女プロジェクト』


展覧会原題:판타스틱 아시아-숨겨진 경계, 새로운 관계 제3회 여성미술제
2018.11.11.再編集


後注:
*1:チャン・ジアは2014年に国立現代美術館が選定する「今年の作家賞」受賞者。なお「今年の作家賞」はすでに実力名声を備えた作家に贈られる賞である。

WordPress.com でサイトを作成
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。