コ・キョンホ 水の上に花が咲く 展 | パク・ヨンフン see 展

コ・キョンホ  水の上に花が咲く 展 錦山ギャラリー 2004.11.10-11.20

展覧会のパンフレット。

ギャラリーに入ると、中は闇が支配している。
壁には、いくつかのほのかな光、そして幻影のような木のシルエットや満月が浮かび上がっている。

今回のコ・キョンホ(고경호)の個展で展示されている作品はすべて「反影」とタイトルがづけられており、映像をプロジェクターからいったん水面に反射させて、壁、あるいは壁に据えつけられた窓に投影させている。
わずかな空気の動きでたゆたう水面、その繊細な動きによって、映し出された木のシルエット(「反影-木」)や満月(「反影-月」)が揺らぐ。
静かな湖畔で水面を眺め続ける様な、非常に詩的で、静寂に沈んだ世界に、観る者を誘ってくれる。

闇の世界でこそあらわれる昼の残像、光の影、窓の向こうの世界。
展覧会名通りの花の映像はないのだが、昼の光をもっとも幻想的に思い出せるのは闇の中であること、水はそれを受け止める器の大小にかかわらず、映像を花開かせる偉大なる媒体だということを意識させる。

錦山ギャラリーは、景福宮の東、ギャラリー現代を北にすぎてすぐ。



展覧会原題:물 위에 꽃이 피다
2019.08.10.再編集





パク・ヨンフン  see 展  ギャラリー朝鮮  2004.11.17-12.7

pakyonghoon.jpg
展覧会のフライヤー。

今年の6月に三清洞にオープンしたばかりのgallery CHOSUN(ギャラリー朝鮮)*。
スマートな都会的展示を行っているイメージだ。

今回個展を開いたパク・ヨンフン(박영훈)は、仁徳大学校のデザインマルチメディア学科の教授である。
出身もヴィジュアルデザインやコンピューターデザインの学科であることからか、作品自体の外見はかなりグラフィックデザイン的である。

今回の展示の内容は大きく3つに分かれている。

1つめ、これがもっともインパクトのあるものだったのだが、肖像写真である。
近くでみるとただの黒い小さな円が規則的に並んでいるだけだが、少し引いてみると、人物が浮かび上がってくる。
肖像写真をデジタル処理し、点描によって像を再構成し、プリントしたもののようである。
書籍や新聞における写真印刷でも、拡大して見てみると、無数の丸い点(網点とよばれる)で全体像が作られていることがわかるが、この網点の数が多く、点が細かくなるほど、鮮明で解像度の高い印刷物ができる。
本作品は、これが肖像写真であることがわかるギリギリの線まで、網点を粗くしたうえで、わずかな大小の差をつけることで、各個人がわかるまでに肖像を再現している。

十数点あるモノクロの肖像画の横には、ポップでカラフルな色彩でその肖像写真に写された人たちの出生年が大きく書かれてある。
技術で再現された肖像であっても、そこにいる人が生身の人間であることを確認するかのようだ。


2つめは音響インスタレーションである。
「the sound of a drum」は、太鼓の形に掘られた花崗岩がつみあげられ、太鼓の叩く皮の部分に映像が映されている。
水色の水面にぱらぱらと落ちる水滴、それにあわせて太鼓の上方に据え付けられているスピーカーから太鼓の音が聞こえてくる。
よく聞くと、太鼓の音ではなく水面を叩く水滴の着地点に接近して音を採取したものだとわかる。
驚くほど力強い音である。

展覧会のパンフレットより「the sound of a drum」。

3つめは「red lamb」、展覧会のフライヤーのイメージになっている作品である。
スーパーミラーという金属の鏡板を、等高線ごとに積んだ山の模型のようなものが展示してあるが、頂上に積まれている板は、仔羊の形をしている。
山の模型に見えたものは、よく見ると同じ羊の形の板を少しずつ拡大し積んだものだったのだ。
また、壁面にはアニメーションが映されている。
人物が小さな人形をいくつも地面に置くのだが、置かれた人形は一瞬で大きくなって、ある者は土下座をしたり、ある者は頭を掻いたり、またある者は肩をすくめたりする。そのクローン人間は、まるでベルトコンベアーに乗ったように左から右へと流れて行き、画面外に出て消える。
人形が画面外に消えるたびに、人物はクローン人間の種を地面に置き、エンドレスで大きくなった人形が左から右へと運ばれては消えていく。



本作はクローン動物を題材にしたもので(クローンといえば羊だ)、クローン技術が果たして人間の幸せになりうるのかという懐疑的な視線をベースに、クローンによる生物が、工業的に作られうる可能性を示している。
生み出されたクローンそのものの危険性ではなく、作ろうとしている人間の精神性を揶揄し、スマートに警鐘を鳴らす作品である。



展覧会原題:see
2019.08.10.再編集


後注:
*:ギャラリー朝鮮は2004年当時、国際ギャラリーの1軒挟んで先(中区三清路58-3)の奥まった場所にあったが、現在は国立現代美術館ソウル館前のビル(中区北村路5ギル64)に移転している。

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