『アートインカンパニー 企業と美術コレクション』 ギャラリー現代 2004.7.21-8.15

チョン・グヮンホの作品。

ギャラリー現代は、1970年開館と、韓国のコマーシャルギャラリーとしてはかなりの老舗である。韓国現代美術の歴史と共に歩んできたギャラリーといって良い。
ナムジュン・パイク(ギャラリーとしては最も多く展覧会を行い、彼の芸術活動を支えた。近年では2001年から計4回にわたって展覧会を開いている)をはじめ、李應魯(イ・ウンノ、이응노)、南寬(ナム・グヮン、남관)、金煥基(キムファンギ、김환기)、韓黙(ハンムク、한묵)、劉永國(ユ・ヨングク、유영국)、郭仁植(クヮク・インシク、곽인식)、 柳景埰(リュ・ギョンチェ、류경채)、金永周(キム・ヨンジュ、김영주)、權寧禹(クォン・ヨンウ、권영우)、丁昌燮(チョン・チャンソプ、정창섭)、尹亨根(ユン・ヒョングン、윤형근)、金昌烈(キム・チャンヨル、김창열)、徐世鈺(ソ・セオク、서세옥)、河麟斗(ハ・インドゥ、하인두)、朴栖甫(パク・ソボ、박서보)、鄭相和(チョン・サンファ、정상화)、河鍾賢(ハ・ジョンヒョン、하종현)、李禹煥(イ・ウーファン、이우환)、尹明老(ユン・ミョンノ、윤명로)、方惠子(パン・ヘジャ、방혜자)、李鍾祥(イ・ジョンサン、이종상)、崔郁卿(チェ・ウッキョン、최욱경)、柳凞永(ユ・ヒヨン、유희영)、李承祚(イ・スンジョ、이승조)、黃榮性(ファン・ヨンソン、 황영성)、李康昭(イ・ガンソ、이강소)、金洪疇(キム・ホンジュ、김홍주)、金基昶(キム・ギチャン、김기창)、朴生光(パク・セングヮン、박생광)、朴壽根(パク・スグン、박수근)、李仲燮(イ・ジュンソプ、이중섭)など、純粋美術から民族芸術、抽象芸術、メディアアートと、各時代の芸術運動を代表する錚々たる作家を扱ってきた。
(ちなみに現代自動車とは関係がないとのことである)


中には、日本をはじめとした海外にもその名が知られた作家もいる。
国内外における韓国人作家の市場価値向上に、ギャラリー現代は大きく寄与してきた。

ノ・サンギュンの作品。


ただ、今回の展示はギャラリー現代が主催したものではなく、アート企画会社のdo ARTが行ったものである。
フリーペーパー『Art Price & REVIEW』のレビューには、「本展は美術品購入文化の土壌を養う意図で企画された」とある。

記事によると、韓国は本年の下半期に、企業による投資目的の美術品取得・所持・譲渡を非課税とする「美術品購入による税制優遇法案」(間接資産運用法改正案)の施行が控えている。
「美術文化は、企業人を含む多くの一般の人びとに、新しい方向性を提示している。そして人びとの文化的マインドを鼓舞させようという一貫したテーマのもと、本展を開催する」(『Art Price & REVIEW』より)
と記述されているが、要は企業向けの現代美術品購入キャンペーンといったところであろう。

これまで個人コレクターなど規模の大きくない顧客を相手にしていたコマーシャルギャラリーは、こうした大口の顧客が増加するであろう動きに備え、企業向けのプロモーション的な展示を増やしている。

ナムジュン・パイクの作品。


本展の展示作品は、当然ながらそうした背景をもっているために、投資対象として堅実なものを揃えたという印象だ。

淡い色を点描のようにして重ね、テキスタイルのような風合いの抽象画を描いた金煥基、自然風景を鮮やかな色彩で抽象化した劉永國、大きなカンバスに水滴をでリアルに描いた油彩画で有名な金昌烈、、ナムジュン・パイク、李禹煥といった大家に加え、スパンコールで覆われた仏像の作品で知られる尙均(ノ・サンギュン、노상균)、針金で葉脈だけの葉を作るチョン・グヮンホ(정광호)、ルネサンスのブルジョワ向け風の肖像画や乙女が描かれた絵画の中に、東洋人女性を入れ込むぺ・ジュンソン(배준성)、現代の静物画を写真で表現するイ・ユンジン(이윤진)といった比較的若手の実力派作家、そして海外の作家ではゲルハルト・リヒター、ロバート・インディアナの「LOVE」、イミ・クネーベル、ドナルド・ジャッドなどの作品が展示されている。

8月17日付の京郷新聞の記事によると、毎週水曜にはメセナ協議会の事務総長や経済学部教授、サザビーソウル支社長など、アート作品投資に関する専門家による講演を開催し、企業コレクションや市場の相場、投資について企業側のアートマーケットに対する理解を深めようと取り組んでいるとのことである。

イ・ユンジンの作品。


もはや定着し、市場でもすでに高い評価を得ており、作品としては見慣れて、かつ見栄えの良い作品ばかりで、新鮮味には欠けるかもしれないが、「買う」ということを考えたときにどのように作品を見るか、また今後の韓国のアート市場をいかに見通すかという意味では、かなり興味深い展覧会である。



展覧会原題:아트 인 컴퍼니, 기업과 미술 컬렉션
2019.8.12 再編集

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